「年収の壁」とは? 企業が知っておくべきポイント

近年、従業員の働き方に影響を与える「年収の壁」が話題になっています。特に、パート・アルバイトの方が「一定の年収を超えると手取りが減る」「扶養を外れる」という問題があり、人手不足に悩む企業にとっても無視できない課題です。ここでは、代表的な「年収の壁」とその影響について解説します。

代表的な年収の壁

以下の3つの壁を理解しておくことが重要です。

103万円の壁(所得税の壁)

  • 年収が103万円以下なら、所得税がかからないため、手取り額が最大化される。
  • 103万円を超えると所得税が発生し、手取り額が減少する。

106万円の壁(社会保険の壁・企業規模要件あり)

  • 従業員51人以上の企業で、週20時間以上働く従業員が対象。
  • 月8.8万円(≒年106万円)を超えると、本人が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することとなり、手取りが減少する。
  • ただし、将来の年金受給額が増えるなどのメリットもある。

130万円の壁(社会保険の壁・企業規模要件なし)

  • 企業の規模に関係なく適用。
  • 年収130万円を超えると、配偶者の扶養から外れ、自分で社会保険に加入する必要がある。
  • 社会保険料の負担が発生するため、手取りが減少する。

「年収の壁」比較表

壁の種類 影響する税・保険 適用条件 影響
103万円の壁 所得税 年収103万円超 所得税の負担が発生
106万円の壁 社会保険(健康保険・厚生年金) 従業員51人以上の企業で、週20時間以上勤務等 社会保険料の負担増(手取り減)
130万円の壁 社会保険(健康保険・厚生年金) 企業規模に関係なく適用 配偶者の扶養から外れる(社会保険料の自己負担)

※ 参考資料:「年収の壁について知ろう」(厚生労働省)

 

企業側の対応は?

従業員が「壁」を意識しすぎると、シフトを減らしたり働く時間を制限したりするケースが増えます。 そのため、企業として以下の対応を検討することが重要です。

柔軟な働き方の提案

短時間労働でも継続的に働きやすい環境を整備。

社会保険加入のメリットを伝える

年金の受給額増加や健康保険の手厚い保障などを説明し、長期的なメリットを理解してもらう。

政府の支援策を活用する

厚生労働省は「年収の壁」対策として、「年収の壁・支援強化パッケージ」という施策を展開中です。 最新情報をチェックして活用しましょう。

※詳しくは…年収の壁・支援強化パッケージ(厚生労働省)

 

まとめ

  • 103万円・106万円・130万円の壁を意識する従業員が多い。

  • 企業は「働きやすい環境の整備」と「社会保険加入のメリット説明」が重要。

  • 厚生労働省の支援策も活用し、適切な雇用管理を行うことがポイント!

 

人手不足が深刻化する中で、従業員が安心して働ける環境を整えることは、人材の採用・定着強化や、企業の生産性向上にもつながります。

3種類の壁や、税・社会保険料の違いを理解するとともに、こうした情報や専門家の力を有効に活用しましょう。

※図はいずれも「年収の壁について知ろう」(厚生労働省)より

 

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※分かりやすさ優先するため、あえて正確な用語や細かい前提条件を使わず記載しています。

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